住まいと暮らし、相続に特化したFP会社  1級建築士事務所併設

遺言書の内容では納税ができない事例

遺産分割協議をやりなおしてハッピー相続

 結果的にBさんの広大地と思われた3つの土地は、駐車場の2つは無事広大地として評価することができたが、ファミリーレストランの土地は広大地の適用は除外となってしまった。3つの土地の評価額は、(図表5)のようになった。

開発が必要でない土地とは

 Bさんのこの土地の形状は、道路と接する長さは25mで奥行きが20mほどの地積が500m²の土地。Bさんの時間貸しの駐車場の土地は、ひょっとすると広大地評価が除外されてしまう「羊羹切りの土地」ともいえる。羊羹切りの土地とは土地を羊羹切るように区画分けすることである。広大地の定義である「開発をするとした場合に」該当するのかそれとも広大地の除外規定にある「羊羹切りの土地」であるのかが不明である。

混沌としているマンション適地の判断

 もう一つのBさんの土地は、マンションが比較的多い場所にある1200m²の月極めの駐車場である。広大地評価の適用除外として、このマンション適地があるのだが、通達は、「明らかにマンションに適している」あるいは「マンションしかない」と解釈するのが通達の読み方である。

致命傷となったファミリーレストラン

 Bさんの相続財産である土地は、広大地の見本のようなものでもある。Bさんの相続における最大の土地評価の問題は、500m²以上の土地の広大地評価のことでもある。実は、相続税における国税庁の財産評価通達における改正広大地評価は、5年前に大改正されたのだ。そこには、思わぬ落とし穴が用意された。単純に500m²以上の土地全てが広大地になるというものではない。

相続税が払えない?・・・。

 アパートオーナーでもあるBさんの相続は、10年前に父親の生前に作成していた公正証書遺言があることで相続問題は何ら問題がないはずであった。しかし現実には、相続税の納税額が当初の想定よりも5000万円も足りないということが判明した。Bさんは、元々は農家だったがそれも祖父の代まで、親の代にはアパートオーナーになっていた。

広大地(こうだいち)の迷走・・・

 国税庁のデーターによれば平成19年度の被相続人は全国で111万人である。そのうち相続税の課税対象は全国4万7000人で4.2%ほどである。高額な相続税を払った相続人はそのほんの一部の方にすぎないということになる。