2013年 7月の茶道講座
【利休百首】
●釣瓶こそ手は竪におけ蓋とらば 釜に近づく方と知るべし
●茶入より茶掬ふには心得て 初中後すくへそれが秘事也
【天下一の点前】
●釣瓶こそ手は竪におけ蓋とらば 釜に近づく方と知るべし
釣瓶は、炉、風炉とも用いるが釣瓶はなるべく風炉に用いたほうが道具の取り合わせ上よりとされています。風炉は丸いのに対して、型が四角いものが多いからです、
釣瓶の蓋は割蓋になっています。釣瓶の持ち手を縦にしておきます。蓋の手を中心に左と右にわかれます。蓋をとるときは、釜に近い左を取ります。蓋の向こうに右手を欠けて蓋を少し前に押し、前に出た端を両手で前に引くようにしてとります。右側の蓋に重ねて、前の端を少し出しておきます。
●茶入より茶掬ふには心得て 初中後すくへそれが秘事也
濃茶では、茶入から茶碗に茶を入れるときに、茶杓で3杓すくい入れ、後はまわし出しをします。茶を、ただ3杓すくえばいいということではなく、その掬い方に、初中後があります。はじめは少し掬い、2杓目ははじめより少し多めに掬い、3杓目は、最も多く掬うのです。3度とも同じ量では面白く無いということです。
【天下一の点前】
利休が、宇治の商人神林竹庵より茶会に招かれたとき、数人の弟子をつれて訪れました。竹庵は利休が訪ねてくれたことは無常の喜びと、茶室に案内をしました。
懐石の運び出し、中立ちまでは順調に進み、濃茶点前で自らお茶を点てはじめました。ところがあまり緊張したためか,点前の手が震えて,棗(なつめ)の上の茶杓を落としたり、茶筅を倒したり、柄杓の水をこぼしたりして、たいへんな粗相をしてしまいました。
利休の弟子たちは、お互いに合図をして腹のなかで笑っていました。
ところが,その茶会が終わると,正客に座っていた利休は「今日のご亭主のお点前は,天下一でございます」と賞賛しました。
帰り道、弟子たちは不思議に思って「なぜあのような不手際な点前を、天下一と言われたのですか」と利休に尋ねたところ、利休は皆に向かって「きょうのご亭主は,私たちに最もおいしい一服の茶をふるまおうと一所懸命だったのです。ですから、あのような失敗も気にかけず、ただ一心に茶を点てたのです。その気持ちが一番大事なのです。」と言いました。
● 参考文献
裏千家茶道 今日庵
利休百首 井口海仙著 綾村坦園書 淡交社
雅庵裏千家茶道教室では、毎月茶道講座を実施しております。